「伊藤くんA to E」書評

  • 柚木麻子(2013)「伊藤くん A toE」幻冬社

「伊藤くんA to E」という小説は大地主の息子で、一流大学を卒業後、シナリオライターを目指しながら、塾でアルバイトをする過剰な自己愛を持った伊藤誠二郎という主人公が、女性や周りの人とどのような恋愛関係や人間関係を築いていくのか、ということを描いた作品である。

この作品では一貫して、過剰な自己愛の持った主人公が自分が傷つくことを恐れ、自分の弱みや欠点を認めないためにとった数々の言動が、女性たちを傷つけていくリアルな様が描かれている。

また、高額のセミナー、つまり今でいうオンラインサロンなどのような、現代人が陥りやすい罠についても所々で描かれており、そこからも現代を生き抜くヒントが垣間見える。

この小説全体を通じて得られる示唆として、自分を守るために、自己を客観視せず、現実を自分の都合の良いように解釈してしまうことは、恋愛や仕事、交友関係、あらゆる場面で取り返しの悲劇を生んでしまうということだ。

つまり、仕事や恋愛や交友関係の全てにおいて、より良い方向で成長していくためには、まず自分を客観視し、自分の弱さや欠点を認め、それを改善するために努力することが必要なのだ、ということを暗示している小説なのではないかと私は読んだ。

自分を客観視し、自分を省みるというのは、「言うは易く行うは難し」ではあるが、自分を見つめなすをきっかけを得られる非常に読み応えのある一冊であった。

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慶應の通信課程に通う大学生。現在はフリーランスとしてコーディングなどの仕事を受けながら、受託開発してる会社でインターンしてます。